NHKにようこそ![大岩ケンヂ/滝本竜彦]

という訳でついぞ漫画版が完結したので感想を。
原作は既読。しかし感想は書いてないという。
また後日書きますですよ。
以下感想
とにかく、一番重要な点……つまり原作既読者が腐心して読む所は岬ちゃんの立ち位置にあります。
原作では岬ちゃんはもっとファンタジーな生き物であった。というよりも岬ちゃんが主人公から見て、手の届かないような謎の存在であるが故に最後のシーンが成り立つ……というか岬ちゃん自体が着陸点だぜ!と思わせておきながら、ってオ−イ!という方式である。(ネタバレと秘密の中間のような何か)
しかし漫画版では早々に岬ちゃんのキャラが固定される。いや、そもそも主人公のダメ具合に比例して集まってくる奴ら皆デストローイ!のノリで全員ダメな方向に進化していた。そして岬ちゃんもダメ人間であった、というのが原作との一番の相違、そしてキーであったと思う。
作中幾度となく繰り返される平穏と破壊のプロセスはなんとも原作ブロークンで愉快でありもうした。
これで感動ストーリーだぜ!→ってオーイ!
一見落着だ−!→ってオーイ!
僕たちは幸せだなぁ−→ってオーイ!
などという展開にはむしろ感動すら覚えます。
けど、なんだろうね。このもやっとした何かは。
多分、皆少しダメ過ぎるのであろうと私は思考する。
山崎は特別になりたい人間であったが、結局は何も出来ずにファーマーになってある程度幸せになった。
少し病み気味の先輩は色々悩んでた見たいだけど結婚してそれなりに幸せらしい。
人はダメでも幸せにはなるってさ。
けど、皆と同じようにダメなはずの俺だけ人並みな幸せすら掴めない。なんでだよ?
という孤立感やら置いてけぼり感が原作のキモであったと思うのですよ。
しかし、岬ちゃんを筆頭に漫画版は皆本格的にダメである。おめぇら本格的に精神病だろう、という程度には。
簡単な意識改革で掴める程度の幸せなど不要!というのは良いがその障害が自分でどうする!?
そもそも原作を読んだ状態から読む、という手法が間違っていたように私は思う。
……結構好きだったんだな、原作。なぜかバットコピーを見たような(そもそもオフィシャルにも関わらず)感覚が抜けないです。十分に独創性もあり、原作とは違う楽しみがあったというにも関わらず。
自分の内部ではネガティブハッピーチェーンソーエッジの方がすげぇ評価高いように感じていたのでこの感情には戸惑うばかりだ。
評価:C−