ジャンプ打ち切りの話、そして漫画の話。

「最近リリエンタール打ち切り打ち切りと嘆いているが、本当の所は何を嘆きたいのか、と少し自己反省をしてみようと思う」
「正直な所、これで駄目なのか、という落胆にも似た何かというのが正しいような気がします。商業的成功と、作品の面白さ、読者人気が正比例の関係に”ない”と思い込んでいるのかもしれませんね」
「ふむ。つまり作品は面白いのに、人気が無い、商業的に成功していない、と思い込んでいる、という訳だな。そして逆に言えばその三種は正比例でなければならない、という思い込みでもある。まぁ正解はその関係性を証明する手段が無い、だがね。素人主観過ぎる。ただし、商業的成功にはその作品を見る数多の読者人気があり、読者人気があるということはそれだけの人気を支える作品の面白さがあるということでもある。まぁ可逆では無いが起こりうる現象から推測するに一方的な関係性は見出せる」
「つまり、商業的成功 → 読者人気 → 作品のおもしろさ は成立するが、作品が面白いからといって読者人気があるとは限らないし、無いともいえない。商業的成功と作品の面白さに至ってはいわずもがな、と」
「繰り返し言うが、勘違いしないでほしいのは、その逆には本当に関係性が見出せない、という事だ。商業的成功は客観的に解る事実だが、作品の面白さ、というものは主観によるので証明が非常に困難だからな。だから今この瞬間に俺が思っているリリエンタールの面白さ、というのも人によれば嫌悪されるポイントでしかない、という可能性は十分にある、という事であり、また商業的成功がなされておらず、打ち切りの危機に瀕しているリリエンタールが作品として面白くない、というのは十二分にありえる、という事でもある」
「結構言葉濁してますけど、別に悪魔の証明でもないんですから、普通に考えれば逆も通ると考えるのが筋って事ですよね? それはつまり”理性的に考えると「一般的にリリエンタールはつまらない」というのが一番真実に近い現状認識だ”、という風に考えている、と?」
「それもまた遠まわしだね。重ね重ねいおうか。売れている作品は面白い。これは否定のし難い現象だ。ストーリー、絵柄、展開など一部分に関していえばその限りではないがね。総合的に見て売れている作品には絶対に長所がある。これを完全に否定するには否定するに値する証拠をもってくる必要があるね。けれど、面白い作品は必ず売れる、という訳ではない」
「面白いものの中のさらに一部が売れ筋になる、と」
「端的にいえばそうだ。またこれとは逆に売れない要素、というものがあるのかもしれない。いくら作品が面白くても、○○では作品は売れない、などというな。だがこれも当然研究者やら編集でもなければその因果を発見することは出来ないだろう。つまり意味の無い言葉ではある」
「売れない要素、ですか……思わず考えちゃいますね。絵が下手、とかですかね?」
「それも一概にどうとは言えん。素人考えに過ぎんからな……という訳で本題だ」
「……また長い前振りですね」
「そんな意味の無い中庸論など一部の変態以外にはどうでも良い事なのだよ。今回はジャンプ打ち切りについて少し思考したい。先ほども思考したが、面白い作品が売れるとは限らない」
「そうですね。まぁ面白いかどうか、というのはまた色々もめそうですけど」
「だが逆に考えてみるとだな。つまらない作品は間違いなく売れない、という事だ」
「当然すぎるw」
「で、ここからは当ブログの方針に若干反するんだが、近年打ち切りになった漫画の悪点を上げてみよう、という試みをやってみよう。つまり売れない要素の思考だ」
「以下、何がしはつまんねー、などと言い募るでしょうので、精神衛生的に問題ある、と思われる方の為に改行空白でも入れましょうか」
「ま、建前上のマナー、なのか?」
「一応ですがねー」
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「ほむ。では例えば何からにします?」
フープメン、ねこわっぱ、あねどきっ、AKABOSI、ぼっけさん、鍵人、わっしょいわじマニア、マイスター、アスクレピオス……簡単に調べたが、あれだな結構忘れてるもんだな」
「なぜでしょう、2年前に打ち切られたはずのポセイドン学園が3番目あたりに思い出されましたけど」
「……まぁ、よっぽどアレだったんだろ。ギャグマンガ日和の影響かしらねーけど、昨今ギャグマンガの絵のレベルが低くても問題ない、と思われている節があるような気がするなぁ。わじマニア、ポセ学は贔屓目に見ても2ランクは絵のレベルが低いと感じるくらいだ。マンガはやっぱり絵が上手いにこした事はねーと思うんだが」
「そういう点で言うとAKABOSI、あねどきっは絵のレベルは高かったですね。構図は、と区切れば鍵人、アスクレピオスは見るべきところがあったと思います。あれは彼らにしかかけないマンガだったなぁ」
「君は基本構図くらいしか気にしてないだろ。構図でいうと奇抜なネウロ、技巧のアイシールド21、などがあるが打ち切りマンガで言うと斬はかなりよかったのかな」
「斬を舐めたらいけませんよ! あれは作者がかなり神の視点を持っていました。まさにイーグルアイ。……まぁ、台詞回しはアレでしたし、ストーリーもアレでしたし、設定もアレでした。加えて昨今見た読みきりでは構図も以下略でしたけど」
婆娑羅……砕き……だと……。そこまでぼこぼこに言わんでも」
「褒める点があるだけ全然マシですよ。それに他の要素はつまらないだけで不快ではありませんでしたから。むしろ楽しく見させていただきました」
「ネタマンガ、というのは至極真っ当な評価だなぁ」
「ネタといえば作品自体がギャグなのでネタにもならなかったわじマニアがありますが」
「あれは作品全体を通じたすべり芸、だと言い張ってほしい。そのくらい厳しかった」
「編集部がギャグマンガ日和をプッシュしていた時期ともかぶっていて、2匹目のドジョウかよ、と思うとヘイトが溜まりますね。もしくはSUN値が削れます」
「作品には何の罪も無いというのに……。まぁ予告カットの時点でかなりヤバイ、というのは過去感想でも書いてるな」
「基本、絵柄の好悪は少ない方だと自覚していますし、絵柄でどうこうはあまり言いたくないのですが、下手なものは下手と認識するのはかまわないでしょう。アレは下手です。今まで見てきたマンガの中でも底辺クラスですね。匹敵するのとなると、ハトのおよめさん、とか……?」
「ああ? ハトよめDisってんのか? ピジョンミルクぶちまくぞ?」
「いや、ハトよめは好き……いや、好きか? よくわかりませんが、まぁ同レベル……いや、ハトよめに失礼か……。まぁそのくらいのレベルですね」
「ネタ、というと後はマイスターか。アレは壮大な前振りのまま終わってしまったなぁ」
「そんなサッカー、楽しい? はマジ名言。あれどこでも通用するすごい煽り文句ですよ」
「そんなジャンプ感想、楽しい?」
「そんなブログ、楽しい?」
「そんな生き方、楽しい?」
「「よけーなお世話だよ!」」
「真面目にいうなら修業シーンを避けよう、奇抜に行こう、という志は買えた、という事ですかねぇ」
「まぁ基礎練習しなくていい、つーのは新しかったけど、別に相手のプレイスタイルに文句つける必要はなかったよな。急にキレるし」
「自由なサッカーにこだわるあまり自由がなくなったサッカー、というのが所感です」
「妥当な評価だ。絵はまとまっていたが特別見るべき所もなかった……というのは上から目線だね。すまんな」
「絵のレベルは問題無かったでしょうけどね。構図はフツーでした」
「構図ありきだねぇ。構図といえばぼっけさんだが」
「慣れた構図が多く、背景とキャラがマッチしているのも良いんですが、いかんせんムヒョロジの頃の悪癖が出てしまってますよね」
「主人公もそんなに褒められた性格でもないのに周りはそれ以上に悪い、という奴かね?」
「ムヒョロジは舞台が悪いかな、とも思ったんですが、まぁ西先生の作風のようです。SQの読み切りでもそう思いましたね。誰視点で読みゃすっきりするんだよ、というかなんというか……」
「巨乳だいすきー!か」
「以下略」
「後は……鍵人、アスクレピオスは同じ問題を孕んでいる気がするな」
「鍵人は盛り上がりの波が作れてない、アスクレピオスは盛り上がりが遅い、と感じましたな。特にアスクレピオスは読み切りが良い作者だけに連載のトーンダウンは悲しいですねぇ」
「悲哀ある作風だからなぁ……。アウターゾーンみたいなオムニバス形式で1回4話、というのは、どうだろうか?」
「こいつ……頭いい……! AKABOSIですが、まぁ水滸伝見たこと無いんで解らないんですけれど、まぁ難しい、というかわかりにくい話だったなぁ、というかなんというか……」
「絵はかなり上手いし、構図もなかなか格好良い、が多分一番のポイントは、効果が上手い、って事だと思うぜ」
「前の野球漫画の時も、投球シーンとか格好良かったですからねー。戦闘シーンでそういう所を上手く見せてくれるのは良かったのですが、何分展開が適当なのと、やはりこれも格好良い戦闘シーンをした方が勝つ、というブリーチ戦闘の劣化バージョンだったのが問題なんではないかなーとか愚考します」
「ヒロインももうちょっと始めから色々臭わせてくれればよかったのに、最初期は本当にただの役立たずな上、読者視点キャラにもなれてなかったしなぁ。原作が原作だけにキャラが定着しない内に新キャラ連打だったし」
「ねこわっぱは……何が悪かったんだろう?」
「逆に何が良かったんでしょう?」
「ねこぱんつ? 方向的にべるぜバブと似ている、というのもあった、のかなぁ?」
「絵柄も若干似てますね。っていうか岩代組らしいじゃないですか」
「おお、マジか」
「にもかかわらず岩代先生のようなストーリー物とは全然違うあたり、にゃんだかにゃー、っていう感じはしますがね」
「にゃんだかなあ。設定的には神様なんだし色々考えられそうなもんなんだが……いまいち地味なイメージだ。テコ入れの巫女さんが露骨で面白かった、という印象はある」
「あねどきっは……まぁ姉姉詐欺でしたからね」
「姉姉詐欺ってなんだw」
「だって姉じゃねーんですもん。義姉ですらねー。ただの女子高生だよアレ」
「まぁ中学生が妄想しそうなおねいさん、という意味でいいんじゃねーか?」
「お色気担当にしてもストーリーがおざなり過ぎですよ。各キャラが好きに振る舞うから不快感が半端じゃねー。悩み事が全部自分のこととか、もうね、少しリトを見習えと言いたい」
「ToLOVEる比較しちゃうか、そこで」
「まぁ、To LOVEるを両手離しに誉めてる訳じゃないですけれど、あれはお色気漫画らしく皆平和でほほえましく、主人公は好感度が高い、というまぁのほほんとした物でしたね」
「ま、なんとか100%の頃から主人公がむかつくのは作風だろ」
「なんつーんですかねー。形上はいい人っぽいのに、細かい所で小悪党、というか、性格の悪さがにじみ出るのがしゃくに障りましたよね。多分打ち切られ漫画では一番不快だったと思われます」
「不快だった、なんて感想はあんまり書かないからねぇ。書いた所で需要もねーし」
「ただ絵は上手い、んでないでしょうか。とはいえ僕にとって絵の上手さ≒構図の上手さなので、その絵単品の美麗さとかは無頓着なのでなんとも言えませんが」
「客観的に見れば線が細くて綺麗、と分類されるんではないかね? 女性作家らしいやわらかさ、とでも言えばそれっぽいか?」
「親父はネグレイトするわ、そこにつけ込んで他人の家に潜り込む家出ビッチ女子高生と、その妹。生活費もその子供から奪い、子供は子供でその環境がよかった、などと住めば都状態。友人はそんな状況関係無く、あのおねーさん超萌え萌え、とか言っててむかつくし、教師は空気だし、あねもどきの家族は更にクソだし……ああ、こう書くだけでもろくな登場人物いねーな! 奏ちゃん位ですよ。好感度高いの」
「あー、あの似非ツンデレフェードアウトヒロインね」
「フェードアウトする意味もわかんねー。オチも酷かったしなぁ」
「ネグレイト親父とは言えども実父。ついていこうエンドだからな」
「なんだよ……あれ……。本当に救いの無い世界でしたね。希望なく、絶望もない。本当にただの空気のような結末だったです」
「ヘイトザヘイターだなぁ」
「あとは印象深いのはやはりフープメンでしょう」
「あれ、超面白かったなぁ。正直手放しに誉められる打ち切り漫画とか、久々だよ」
「通訳漫画になるかと思ったら普通に青春スポーツ漫画でクオリティも高い、というマイスターとはまた違ったベクトルの漫画だったな」
「修行シーンがまたいいんですよ。ただ毎日シュート練習するだけだけど、スポーツが上手くなるのにそれ以外になんかあんの? と言わんばかりの展開。そして主人公は立ち回りとか、ドリブルが上手くなるんではなくて、シュートが上手くなる、という努力の実り具合とか、密かな才能とか、そして集団という意志の集まり、勝ちたいという気持ちとか……やっぱりフープメン買いますか」
「あれ2巻で終わったとか、今でも信じられねーよ。逆に言うと何が駄目だった?」
「絵柄が少しとっつき難かったですかねー。後主人公は格好良かったですがイケメンでは無かった。ヒロインも別に可愛くは無かった。ストーリーは面白かったと思いますが、派手ではなかったし、波もどーん!というよりも、ざわわわわわ……! という感じでした」
「逆 に 解 り に く い !」
−−−
「……と言うわけでまとめましょうか。とりあえず昨年からの打ち切られ漫画の内、好感度の高い順から書くと
−−−打ち切りが許せない−−−
1:フープメン 文句無しに面白かったが売れる要素がなさそうだった。打ち切りは残念過ぎる。でも黒子のバスケでは相手が悪かったか……。
−−−打ち切りも仕方ないが、続いてくれてもよかったのにライン−−−
2:アスクレピオス 単純に作者が好き。客観性につとめればストーリーもキャラも魅力も連載としては△と言わざるを得ない。
3:鍵人 偉大なる荒木師匠の弟子は打ち切り連打。だがそのゼロ年代っぽい主人公造形はかなり奇抜。他は△。
−−−打ち切りだろうが続こうが感情は多分動かなかったし、感想もあまり書かなかっただろうライン−−−
4:ねこわっぱ テコ入れが面白かった。オチのトーナメントもどきレースがとどめを刺したんでは無いだろうか。
5:ぼっけさん 最初はちょっと期待していた。キャラクター、世界観。光る面はあったがいつも通りの西先生だった。
−−−早くおわんねーかなライン−−−
6:AKABOSI 絵柄、構図が○な以外が×なのが良くない。絵を見る為に漫画を見ている訳ではなく、感想も書きづらいので扱いには困った。
7:マイスター お前の言いたい事がさっぱり伝わらない挙げ句、打ち切りになった時の巻末の捨て台詞が感情を黒く染める。何が楽しいサッカーの真意だ、そんなものは作品中に伝わるように言え!
−−−なんで10週で突き抜けないのか理解不能なライン−−−
8:わっしょいわじマニア なまじギャグでつまらないともうどうしようもない。テコ入れもないし。絵柄が悪印象が最後まで後を引いた感。我ながら嫌な流れだ。
9:あねどきっ 見てて不快過ぎる。絵柄がどうでもいい以上、実質的な評価はわじマニア以下。感想とかむしろ拷問だ。
 という所でしょうか」
「またざっくり切った上に信者補正だなぁ」
「趣味が多分に反映されているのは否定しませんよ。所詮人は主観のくびきからは逃れられないのです」
「まぁ、結局何が悪いのかはわからんかったな」
「ええ。特にフープメンは地味、絵柄の処理が粗い、可愛いヒロイン、イケメン主人公がいない、という以外は一線級の漫画でしたし、一部一部を見ればAKABOSI、あねどきっなどはファン層があっても問題無いレベルのクオリティがあったのだと思います」
「でも現に漫画は打ち切られる、と。ジャンプ連載情勢は複雑怪奇なり……か」
「打ち切られた漫画に対する感想、という死体にむち打つような格好になってしまいましたね。少し反省しています」
「うむ、あまり熱心に調べたり読み返した訳ではないからな。あまり長くなる前にそろそろ退散しようかね」
「まーもう十分長いですけどねー。前振りだけで終わらせればよかった……」
「言いたい事があるというのは素晴らしき事かな。まぁ感想はしっかり続けて行く事にしよう」
「了解であります。ではまた次回」
「ではまた次回」