青少年保護育成条例改正案についての勉強会。

風:「というわけで今日の話題は昨今話題の東京都の議題に出された、青少年保護育成条例 改正案についてあれこれだ ※追記:超長いんでぶっちゃけまとめだけ読んでくれてもいいかもしれん」
向:「まぁたアレですね。色々荒れそうなネタというかなんというか……」
月:「言っとくけどあたしは超反対よ! 超反対ー! 犯罪表現規制なんてなったらそんなん真っ先にボーイ、ブレーメン、ソードブレイカー、カウンタックに影響出るじゃない!」
向:「大半が元々終わってるじゃないですか! それ」
臨:「……あの〜、青少年保護育成条例 改正案、って結局何が変わったんですか〜?」
風:「うむ。とりあえずその辺を現状含めて素人にも解る程度に理解し、後でオチまでつけるのが今回のエントリだ。正直、更新してる暇があったらモンハンやりたいんだが、一応村クエでジンオウガ倒してエンドロールは流したからな。少し真面目な更新をしようという企画だ。なにはともあれ、実際条例がどうなっているのかも解らずに騒ぎ立てるのだけは勘弁なので、個人的な調査の意味合いが強いエントリとも言える」
向:「まぁ、軽く見ただけでも、この改定案が成立したところで僕達の生活には特別関係なさそうですからね。出版関係にいるわけでもないですし。結局コレも対岸の火事、って事なんでしょうか?」
月:「関係超ありありよー! あたし達の娯楽の最中心、漫画の危機なんだからね!」
風:「関係あるかないかとか、その辺も含めてちょっと真面目に勉強会、って感じだぁな。って訳で心落ち着けて見てくれい」
臨:「はい、了解です〜」


結局、青少年保護育成条例ってなんぞ?

向:「ちなみに、正式名称は、東京都青少年の健全な育成に関する条例、ですね。同じような条例は各地で制定されてますので、まぁ名前が似たり寄ったりなのでまとめて青少年保護育成条例、としているようです」
臨:「ほぇ〜。というか、改正案、って事はもともとの条例はすでに制定されているんですよね〜? わたしはまずそこから解らないんですけれど〜?」
風:「ふむ。青少年保護育成条例ってのは主に、青少年の健全な育成の為に、不健全な行為を促す文章、映像などを出版、販売の段階からゾーニング、年齢による販売規制、場合によっては所持も規制って感じかな。具体的な例だと……エロ本などの18禁コーナーはこの条例があるから区分けされてるっぽいな」
向:「一応あれは猥褻物陳列罪あたりも絡んでるっぽいですけどね」
風:「まぁ地域によっては年齢制限のあるゲーム、書物の販売が禁止されている、とかそんな程度か? まぁ各自自治体によって違うから、気になる人は調べてくれ、という感じではある。というわけで今回問題になっている東京都の改正案について見て行くことにする」
向:「えーっと、まぁ取り上げる箇所以外にも細かい変更点がたくさんあるんですが、随所に”等”をつけるなりして解釈を若干拡大していたりしているのが主なので、この辺は触らない事にします。興味がある方は……っていうか自分の住んでる都市の条例は知ってて当たり前ですから、目を通しておきましょう」

東京都青少年の健全な育成に関する条例

向:「当エントリでは大きく変動してるところだけ触ります。ちなみに改定案の全文は都議会図書館で見られるんですが、ネット上に全文転載してくださっている有志の方がいますので、それを参考にしてください。はてなで転載して下さっている綾波書店さんの所へのリンクを以下に。綾波書店さんでは陳情書の書き方なども紹介してくださっています」

青少年健全育成条例の改正案全文(11月30日提出分)

風:「条例改正案に反対するのであれば、陳情書は一番ベターな方法だからな。綾波書店さんでは陳情書の要点まとめもしっかり乗っていて解り易い。別にこの件は悪の組織に立ち向かうレジスタンスでもなんでもないんだから正規の手段で全うに反対するのが一番効果的だ。ルールとマナーを守って正しい反対運動をしよう!
月:「綾波書店さんも過激な行動は逆効果、って言ってるものね。ルール無用じゃ組織は成り立たない。シュバインさんは本当上司の鏡ねぇ」
向:「というわけでまずは携帯電話のフィルタリングですかね」

第五条の次に次の一条を加える。
携帯電話端末等の推奨)
第五条の二 知事は、携帯電話端末若しくはPHS端末(以下「携帯電話端末等」という。)又は携帯電話端末等において利用可能な機能で、青少年がインターネットを利用して青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報を得ることがないよう必要な配慮を行つていることその他の東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な育成に配慮していると認めるものを、青少年の年齢に応じて推奨する事ができる。
2 知事は、前項の規定による推奨をしようとするときは、東京都規則で定めるところにより、業界に関係を有する者、青少年の保護者、学識経験を有する者その他の関係者の意見を聴かなければならない。

向:「都が公認したフィルタソフト内蔵携帯推奨、って感じでしょうか?」
月:「ま、簡単に言えば携帯規制よね、これ。推奨とか言ってるけど、結局都推奨じゃなかったらダメって風潮になるんじゃないの?」
風:「さすがにそれは穿ちすぎだとは思うが、まぁ都がフィルタリングソフトの導入を推奨している、ってのは確かだな。実際携帯持ってたらエロ画像だろうがグロ画像だろうが、動画だって取り放題。フィルタリングはかなり有効な対策であるが……現状、導入は任意だからな。そんな手間かけてるのは極少数だろう。故に携帯での規制をするなら条例を持って義務化するのも当然の理か。まぁそんなのインターネットでも同じなんだけど」
向:「お手軽度が違う、って事なんじゃないですか? っていうか、むしろこれは出会い系とやらの阻止なのかもしれませんよ?」
月:「出会い系サイトには接続不可能にして云々、って事? まぁそれなら確かに効果あるの……かしら?」
風:「そうなったらそうなったで、結局PC上でメールアドレス教えて後は個人的うんたらくんたーら、ってなりそうだが……まぁこの辺はわからん。出会い系経験者に携帯なかったら不便? って聞いて見た方が早いな」
向:「そんな人周りにいませんけどね。まぁなんにせよワンクッション置くって事はいいんじゃないですか」
月:「っていうか、これって逆に都が携帯を認めた、って事なのかしら?」
臨:「いまどき小学生も携帯を持っている時代ですからね〜。学校への持込禁止云々で大阪府でもめてませんでしたっけ〜?」
風:「時代を感じるよなぁ……。ま、元々ネット上に18禁サイトなんて数多だし、フィルタリングソフトを都が後援してくれるってのは良いことなんじゃねーか?」
向:「そのフィルタリングソフト導入で都が利益をむさぼっている、などという意見もありますが……さすがにそれは穿ちすぎですかね。まぁ繋がりすぎるってのも、やっぱり問題なんだろう。と悟った風な事を言って閉めましょう」



月:「んじゃ次ね。ま、これが一番問題なんだけれど!

第七条中「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害する恐れのある」を「次の各号いずれかに該当する」に改め、同条に次の各号を加える。
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害する恐れのあるもの

月:「これ、単純に七条中に第二号を加えただけなんだけれど、第二号が問題よね。要は未成年者の性交、親近相姦、性交疑似行為の禁止と、それらを賛美、誇張しての表現禁止。しかも実写以外の画像だけ。は? 小説とか文章と実写はOKっていう意味が解んないんだけど? ドラマとかケータイ小説ならOKって事? マジで意味不明! しかも性交疑似行為がダメって事はメタファーも規制対象なのこれ? ふっざけた話!」
風:「簡単に言えば、はぁはぁ息を荒げながらマッサージをする兄妹もアウトに出来る、って事か。つーか性交疑似っていうんだったらアウトしようと思ったら恋愛描写の何もかもがアウトに出来そうだな。キスしただけでアウト、転んで乳揉んだだけでアウト、パンチラアウト……ダメだ。この手の表現は数が多すぎる。だからこそ規制に抜け道が出来ないように範囲多く取ってるんだろうが……」
月:「範囲大雑把過ぎでしょこれ!」
向:「2次元エロ規制ですよね。基の七条では……」

図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は
(中略)
当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。

向:「とありますから……それらの表現がある本は軒並み18禁判定でも食らうんですかね? まぁ、既存単行本ならまだしも、大小さまざまなエロ描写のある雑誌は影響ありそうですね。ヤンマガなど、その辺のコンビニにある青年誌ですら直接間接問わずエロ描写はある訳ですし。18禁コーナーに雑誌が置かれる日もそう遠くはないのかもしれません」
風:「そもそもこれをどこがどうやって判定するんだ? 出版社が判定するならセルフコントロールいいかもしれんが……まぁそれじゃ無意味か。教育機関とかお堅い外部組織に判定なんてされたらホントただの踏み絵状態だよなw」
月:「ともかくコレは本当にクソねぇ! 過大に捉えすぎって言われるかもしれないけれど、これ、そのエ規制定する組織によっては、キスシーンすらアウトになる可能性あるのよ? つーかそれ以前にレディコミ、BL本なんてアウト中のアウト! 漫画コーナー軒並み18禁じゃない! こんなあからさまな出版規制を段階踏まずに実地なんて、出版業界絶滅させる気? そもそも禁止にする表現を条例中で明確な分け方が出来ないなら禁止にすんじゃねーって思うわよ!」
風:「簡単に挿入、射精、絶頂禁止とか明確に条例文に書いてあれば分かりやすいのにな」
向:「そしたら結局寸止めギリギリ漫画が生まれるだけですよ。全く意味がない。だからこそ全部禁止にしてやる、って事なんでしょうが、いくらなんでも十把一絡げ過ぎますね。あまつさえそれを管理するのが教育関係有識者なんでしょう? そこは出版社の組織も混ぜるべきだろ……常識的に考えて……!」
月:「そこまでやっといてケータイ小説とか、レイプとか妊娠、ドラッグの闊歩する魔境はスルーなんでしょ? 意味解らないにも程があるわよ!」
向:「ドラマも実写だし……やっぱりTV関係、映画関係には配慮してるんですかね?」
風:「うーん。そういう陰謀論を感じなくも無いが……ともかく出版業界つるし上げだなぁ」
臨:「あの……発言が過激過ぎまて付いていけませんよ〜!」



風:「んじゃ次な」

第八条第一項中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交又は性交類似行為を、著しく不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

風:「これも前の項と似たようなもんだな。八条は都知事から規制図書判定に指定出来るモノの分類指定だから、これを追加する事によって漫画、アニメ映画などでちょっとしたエロ描写があれば規制図書指定をいただけるという有り難い条文だ。まぁ規制の外堀埋めみたいなもんだな」
向:「ちなみにそのすぐ下、九条でも上記と同様に二号が指定されてます。九条は図書、映像の販売、貸し付け業者に対する販売、貸付制限ですね」
月:「なにはともあれ規制図書判定に漫画やアニメなどの表現を含めたいようね」
風:「結局、この辺の文言でもめてるんだよな。以前にも上げられた改正案では、ここら辺の制限に非実在青少年、という言葉が含まれていて大騒ぎだったな」
臨:「非実在青少年、ですか〜?」
向:「要するに漫画の中の登場人物の事ですよ。漫画の中の年齢設定が未成年の場合には、過激な表現、法律に反する行為はアウト。設定がどうあれ、見た目の年齢が未成年に見える場合もアウト、というトンデモな内容でしたね」
臨:「ほえ? 漫画の中の登場人物に法律を適応する〜、って感じですか〜?」
風:「バカげてるだろ? 想像しただけでアウト、みたいな話なんだもんな、これ」
月:「さすがに無理があったから今回は含まれてないみたいだけど……見た目とか、擬似表現とか曖昧な線引きをしようとすれは、その判断で揉めるに決まってるじゃない。多少グレーゾーンが出来てしまっても、明確な線引きをしないと、いずれ魔女狩りが横行するハメになるっての、解らないのかしら?」
向:「その魔女狩り自体が目的なんじゃないですか?」
風:「それ、ありうるよなぁ」
月:「ほんと、バカみたいな言葉遊びが可能よね、条文ってやつは!」



月「そーろそろ長くなってきたけど、まだあるわよー」

  第三章の三中第十八条の六の二の次に次の一条を加える。
 (青少年を性欲の対象として扱う図書類等に係る保護者等の責務)
 第十八条の六の三 保護者等は、児童ポルノ及び青少年のうち十三歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性欲の対象として描写した図書類(児童ポルノに該当するものを除く。)又は映画等において青少年が性欲の対象として扱われることが青少年の心身に有害な影響を及ぼすことに留意し、青少年が児童ポルノ及び当該図書類又は映画等の対象とならないように適切な保護監督及び教育に努めなければならない。
 2 事業者は、その事業活動に関し、青少年のうち十三歳未満の者が前項の図書類又は映画等の対象とならないように努めなければならない。
 3 知事は、保護者又は事業者が青少年のうち十三歳未満の者に係る第一項の図書類又は映画等で著しく扇情的なものとして東京都規則で定める基準に該当するものを販売し、若しくは頒布し、又はこれを閲覧若しくは観覧に供したと認めるときは、当該保護者又は事業者に対し必要な指導又は助言をすることができる。
 4 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者及び事業者に対し説明又は資料の提出を求めることができる。

月:「これはアレかしら? ちょっと前に話題になってた、子供の水着グラビア? とかの禁止なのかしらね」
向:「十六条は映画、舞台などに関しての規制ですね。元々は未成年者の当該作品閲覧の禁止事項でしたが、今回の改定では出演も禁止、って事で」
風:「当然っちゃ当然の措置なのかもな。むしろいままで禁止じゃなかったのは、まさかそんな擬似エロが生まれるなんて想像してなかった、って事なんだろう」
向:「げに恐るべしは想像力、ですかね」
風:「まぁこの辺が前の項あたりに影響してる気がするな」
月:「ここは線引きもある程度はっきりしてるし、実際に居る13才以下のグラビアとかを禁止するのは良いんじゃない? さすがに13歳じゃイメージビデオとファッションモデルの区別が付かないかもしれないし、さすがにその年齢でお色気路線で真面目に考えているとか、ないでしょ? それに……保護者の悪意みたいなのも、考えたくはないけれどあるかもしれないもの」
向:「なんか急に甘くなりましたね?」
風:「前の条文だって同じように未成年者を守るための条例なんだとは思うがね」
月:「にしては漫画とかの方だけ線引きと規制が曖昧なのよ! これ、規制する側が2Dだといまいち判断が付かないから大雑把に範囲取ります、って言ってるようなもんでしょ?」
向:「判断出来ないなら、全部禁止にすればいいじゃない。プロ市民
月:「うっお――っ!! くっあ―――っ!! ざけんな―――っ!
風:「わりぃな。俺は政治家じゃねぇ
臨:「あの、何を言ってるのかさっぱり解らないんですけれど〜(´・ω・`)」



臨:「えっと〜、次はこれですね〜」

 第三章の四中第十八条の七の前に次の一条を加える。
 (インターネット利用に係る都の責務)
 第十八条の六の四 都は、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育等の施策の推進に努めるものとする。
 2 都は、青少年がインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害について適切に理解し、これらの除去に必要な知識を確実に習得できるようにするため、青少年に対して行われるインターネットの利用に関する啓発についての指針を定めるものとする。
第十八条の七第三項中「(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)」を創り、同項を同条第五項とし、同条第二項中「をいう」の下に「。以下同じ」を加え、同項を同条第四項とし、同条第一項中「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)」を「青少年インターネット環境整備法」に改め、「(同条第十項に規定する青少年有害情報フィルタリングサービスをいう。以下同じ。)」を削り、同項を同条第三項とし、同項の前に次の二項を加える。
   青少年有害情報フィルタリングソフトウェア(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)を開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービス(同条第十項に規定する青少年有害情報フィルタリングサービスをいう。以下同じ。)を提供する事業者は、青少年のインターネットの利用により青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じている実態を踏まえ、その開発する青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスの性能及び利便性の向上を図るように努めなければならない。
 2 青少年インターネット環境整備法第三十条第一号のフィルタリング推進機関並びに同条第二号及び第六号の民間団体は、青少年のインターネットの利用により青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が発生している実態を踏まえ、その業務を通じ、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービスの性能の向上及び利用の普及が図られるように努めるものとする。

向:「長々と書いてありますが、これはインターネットフィルタリング整備の強化ですね」
風:「ついでだから次の携帯電話のフィルタリングに関する変更点も書いてしまおう」

 第十八条の七の次に次の一条を加える。
 (携帯電話端末等による青少年有害情報の閲覧防止措置)
 第十八条の七の二 保護者は、青少年が携帯電話インターネット接続役務に係る契約(当該契約の内容を変更する契約を含む。以下同じ。)の事業者となる場合又は保護者が青少年を携帯電話端末等の使用者とする携帯電話インターネット接続役務に係る契約を自ら締結する場合において、青少年インターネット環境整備法第十七条第一項ただし書の規定により青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をするときは、東京都規則で定めるところにより、保護者が携帯電話インターネット接続役務提供事業者が提供するインターネットの利用状況に関する事項の閲覧を可能とする役務を利用すること等により青少年がインターネット上の青少年有害情報(青少年インターネット環境整備法第二条第三項に規定する青少年有害情報をいう。)を閲覧することがないように適切に監督することその他の東京都規則で定める正当な理由その他の事項を記載した書面を携帯電話インターネット接続役務提供事業者に提出しなければならない。
 2 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、前項に規定する契約を締結するに当たつては、青少年又はその保護者に対し、青少年有害情報フィルタリングサービスの内容その他の東京都規則で定める事項を説明するとともに、当該事項を記載した説明書を交付しなければならない。
 3 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件としない第一項に規定する契約を締結したときは、当該契約に係る同項の書面に記載された正当な理由その他の事項を、東京都規則で定めるところにより、書面又は電磁的方法により記録し、保存しなければならない。
 4 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が第二項又は前項の規定に違反していると認めるときは、当該携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
 5 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が前項の規定による勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
 6 知事は、前項の規定により公表しようとするときは、第四項の勧告を受けた携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。
 7 知事が指定した知事部局の職員は、第二項から第五項までの規定の施行に必要な限度において、当該携帯電話インターネット接続役務提供事業者の影響又は事業の場所に営業時間内において立ち入り、調査を行い、又は関係者に質問紙、若しくは資料の提出を求めることができる。

月:「インターネット、携帯もどっちもフィルタリングを強化して、違反してたら関係者各位はすぐ従って情報開示しろこのやろー、って事よね」
向:「まぁ超大雑把ですがそんな感じです」
風:「フィルタリング強化するならそれを徹底して落とし込むのは当然だな。まぁこの辺は一々取り上げなくても前の項と行ってる事あまり変わらない」
向:「次も同じようなもんですので、ささっと行きますか」



風:「そして最後にインターネット閲覧に関しての保護者の責任と管理だ」

第十八条の八を次のように改める。
 (インターネット利用に係る保護者等の責務)
 第十八条の八 保護者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスの利用により、青少年がインターネットを適正に利用できるように努めるとともに、青少年がインターネットを利用して違法な行為をし、又は自己若しくは他人に対し有害な行為をすることを防ぐため、青少年のインターネットの利用状況を適切に把握し、青少年のインターネットの利用を的確に管理するように努めなければならない。
 2 保護者等は、家庭、地域その他の場において、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、自らもインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害についての理解並びにこれらの除去に必要な知識の習得に努めるとともに、これらを踏まえて青少年とともにインターネットの利用に当たり損朱すべき事項を定めるなど適切な利用の確保に努めるものとする。
 3 都は、青少年がインターネットを利用して違法な行為をし、又は自己若しくは他人に対し有害な行為をした場合におけるその保護者に対し、必要に応じ、再発防止に資する情報の提供その他の支援を行うように努めるものとする。

風:「要は子供が安易にネットで有害サイトに触れられないように親が配慮しろ、ってこった」
向:「規制を強化しても親が無関心だとか、知らなかったでは意味がありませんからね。これも落とし込みの一貫ですか」
月:「この辺に関してはむしろ今まで野放図だったのが不思議なくらいなんだけれどね。特に東京都は元々東京都青少年の健全な育成に関する条例で未成年者が18禁サイトにアクセスさせにくいようにしている、とか言っても、ただサイト入口に年齢認証の看板立ててるだけってのが実情だったんだし」
向:「なんで知ってるんですか、そういうサイトの仕組み」
月:「……しゅ、淑女のたしなみよ!」
風:「ま、ネット関係の規制はまだまだ手探り感が強いよな。正直ネット上での年齢確認なんて形骸化してるんだから、いっそのことフィルタリングソフトぶっこもうぜ! ってのは極端かもしれんが納得の解決案だと思う。そして今回はそれを推奨する文言を入れてきたわけだ」
向:「推奨っていうか、半ば義務化ですけどね」
月:「義務化しなきゃ人は動かない、って事なのかしら」
風:「モラルに訴えるってのは、なかなか難しいな。ま、この辺になると俺は特に文句は無い。アダルトサイト側は当然ながら大人向けのサイトなのだし、子供が見ても購買力は極端に低いだろ。都市条例を無視してまで集客する意味もあまりないから、規制に逆らってまで運営する意味は薄い。アフィ系や架空請求サイトとかなら話は別かもしれんが……その辺語りだすと長くなりそうだし、素直に納得しといてくれ」
月:「そもそもこの辺だと解釈違いも起こらないものね」
風:「ってわけでそろそろ考察タイムに入るぞ」


スーパー考察タイム。可能性を生み出しただけでアウトなのか?

風:「って訳で一通り改定案を見てきたわけだが、どうかね?」
臨:「う〜ん。あの、わたしとしては、ちょっと過激かなぁ、とは思いますが、その、なんというか〜……。別に制定されても問題無いと思うんですけれど〜……? だってこれ販売規制っていうか、要するに過激な漫画、アニメには年齢制限をつけてね、って事ですよね〜?」
風:「アニメなんかは深夜枠放映とかでお茶濁せるのか? まぁ条例が改定案どおり施行されたとしても、雑誌は軒並み年齢制限が付けばOKだろう、とは思うぞ」
向:「暴力表現が含まれますシールとか、ですか? 雑誌読むのにもビニールコートか……胸が熱くなりますね……」
臨:「本屋さんとかでも、ちょっと過激な表紙の漫画、多いですし〜……。あの、お姉ちゃんには悪いんですけど、やっぱりそういうのは、子供達の目には入らないほうが良いとは思いますよ〜」
月:「……なん……だと……? あたしがこれほど熱弁したのに妹には伝わらなかったのね……!」
風:「ま、最近フェチだのなんだの装って殆ど中身エロ本の漫画も多いし。危惧したくなるのも解るっちゃぁ解る気もする……かな?」
臨:「ほら、子供達って感受性豊かじゃないですか〜。三つ子の魂百までも〜、とも言いますし〜。……やっぱりそういう時期に、暴力とか、性だとか、出来れば触れていない方がいいんじゃないかな〜……って。でもやっぱりこれも感覚的なことですから、やっぱり何かしらの裏というか、根拠があった方がいい、とも思いますけどね〜」
向:「根拠はともかく、多くの人はそう思ってるんじゃないですかね? 漫画からエロ、暴力、犯罪表現が減って何が悪いの? って感じでしょう。今回の論点って結局は表現の自由の境界線ぎりぎりを飛行している人たちにとっては死活問題、というのが主ですから」
風:「そういう点からすると漫画家達が反対するのは、当然だよな。今まで俺達は少年向けに書いてたのに、それがいきなり18禁になったら、売り上げ的にも、漫画の方向性的にもどーしよーもない。自分が伝えたいこと、表現しようと思った事が、今までどおり書けなくなる、それは漫画家にとっては本当に死活問題だろうし」
月:「だーかーら。あたしが言ってるのはそっちの方向よ。確かに、今まではお手軽気軽に買えた雑誌が軒並み年齢制限がかかったとしても、とっくにいい大人のあたし達は、最初は面倒くさいなぁ、とか思いつつも次第に慣れていくでしょうよ。効果あるのか知らないけど、子供達も過激な表現に触れる機会が減るとは思うわ」
臨:「雑誌買うのとタバコを買うのが同じような感覚になる、って事なんですかね〜?」
月:「そーかも。でもね。そんなん出版社からすれば購買層を減らすだけのクソ条例なわけ。販売制限がかかって雑誌の売り上げが減って雑誌が廃刊になって面白い漫画が減るのも、年齢制限回避の為にぬるい漫画ばっかりの雑誌が闊歩する、なんてのも、どっちも反吐が出るって事なのよ! 青少年の健全な育成? そんなの知ったこっちゃねーわよ! 暴力表現上等ー! あたし達は無敵の成年様だぜぇー! って事! 何か問題でも?!
向:「すがすがしいまでの暴論、ありがとうございます」
風:「漫画って結局何なんだってばよ! って事かもな。表現のツールなのか、子供向けの玩具なのか、とか。ま規制がかかったところで、漫画自体はなくならず、年齢制限が掛かるだけになる、ってのはちょっと条例の改定案と原文を読めば解るんだろうし、自分が何を重視しているのか、相手が何を重視しているのかくらい考える余裕はあるだろ」
月:「余裕、って言っても規制に対応できない雑誌や漫画は無くなるって事、忘れないでよねー」
向:「でも、解ってない層とか多そうですよ。昨今の流れを見ると。……っつーかこの辺かなり情報操作されてません? よくツイッター拡散希望とか言う文言だと、このままでは僕たちの漫画が滅んでしまう! とかなんとか書いてあったりしますし。条令読んでもどう滅ぶのかいまいち理解できないんですが……何段か段階飛ばして書きすぎじゃありません?」
風:「まぁ、販売規制によって漫画の絶対数が減ることを危惧している、って擁護も出来るけど……俺が見た奴だとこのままではゲームや漫画の8割が無くなります! とか書いてあって、正直ワロタ。8割とか何処から来た数字なんだよw 『俺の試算だと多分半分以上は危ないんじゃないかな。よし、八割で行こう!(キリッ』 ってこと?w お前条文読んでねーだろ、と小一時間」
臨:「ま、まぁ別に販売を禁止する、とは書いてませんからね〜……。青少年に対する販売、閲覧が出来ないように配慮しろ、って事ですし、出版社の方もある程度は対応できるように考えられているとは思いますよ〜……?」
風:「極端な話、暴力、性表現のある漫画はエロ本コーナーに置けばOKだもんな」
月:「ぶっちゃけたわね。ま、現実的には雑誌は軒並みひもとじされて購入時には年齢確認をする、とか、販売コーナーが隔離されるとかじゃない? ……ま、こう理想どおりに行くとは思わないけれど」
向:「不安がってますねぇ」
月:「そりゃそーでしょ。あたしだって現状のカオスな状況に何も文句が無いわけじゃないわよ? 犯罪を助勢する反吐が出そうな程下らないと思う漫画はあるし、条例に引っかからないような漫画でも面白い漫画はたくさんあるとは思う。でも、そういうのって作者が考えた事、思った事を紙面に起こしているだけでそれ自体は犯罪でも何でも無いじゃない。それをいきなり規制って言われて納得なんて出来ないわよ。しかも何が規制されるのかが曖昧なんだったら尚更」
臨:「でもでも! 規制されるって事は、それは漫画やアニメとかの表現が、子供でも理解できるくらいに優れている面がある、って事だとも思うんですよ〜。だから、条例がどうあれ、結局は作り手側の人たちが、そういう配慮をしなくちゃならなくなっていくんだろうな〜、と、わたしは思います〜」
風:「子供でも見れるようなものには犯罪や不道徳に繋がるような安易な表現は無くし、隠喩程度に。年齢制限層からは相応に過激なものを、ってか。まぁ言うは易しって感じもするが……」
向:「目指しているのはゾーニングの徹底なんですかね。ただ現状の改定案では軒並み魔女狩りが行われそうで怖いんですけれど」
風:「慌てるな……慌てるんじゃない、俺はただ、創作がしたいだけなんだ……」
月:「創作をする時はね、誰にも邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……」
臨:「(カンペを渡されつつ)そ、ソレ以上イケナイ〜!」
向:「孤独のマンガ乙」
月:「ギャグはいいとして。怒りを表現しようと思った時に、ああ、ここで人を殴る描写を入れたら犯罪だからやめよう、パンチングマシーンにしよう、なんて配慮した作品じゃ、伝わらないと思うんだけどなぁ……。 モノを作るっていうのは、そんな風に善悪の二元論で制限されるようなことなのかしら?」
風:「規制に次ぐ規制で作家の表現力が奪われる、ってか。まぁ今でも十分規制はあると思うけどな。言葉狩りとか」
向:「そこはさすがに触れない方がいいんじゃないですかね……」
月:「そもそも、漫画ゲームのせいで少年犯罪が云々っての、ハーバード大学かなんかの研究で否定されてたとは思うんだけど。……やっぱり、あたしは全然納得できないわよー。こんなの意味が無さ過ぎる。ただの作家と出版社の締め上げじゃない」
向:「僕の見解としても、規制自体の方向性云々よりも出版側の不自由さの方が問題だとは思います。条例見ての通り、完全に漫画の出版規制が追加されている感じですからね。弱小出版社は今も震え上がってるんじゃないでしょうか。兎角このご時勢、企業を締め上げてどーすんですかね」
風:「流通の中心が東京だからなぁ……東京でこういう規制がかかると全国に飛び火する、っていうのが各所で心配されているしな」
向:「青少年への影響は解りませんが、少なくともこの条例で経済的には打撃を受けるのは間違いないですよ。出版関係は特に大変革が求められる訳ですよね。後は流通、書店、雑誌が多いコンビニとかもですか? まぁ、その規制の判定をする公的機関が生まれるとしたら、その関係者は潤うかもしれませんが」
月:「そーいうところも気に入らないわよねぇ! それで得するのって結局締め上げ側だけで、無関係の一般人にも多少影響あるわけだし!」
風:「ま、都知事はそういった経済的影響よりも青少年の育成の健全化を選んでいるようなんだがな」
臨:「何を犠牲にして、なにを優先しているのか〜、って事なんですかね〜?」
月:「だっからまずはその悪影響の証拠を持ってきなさいってのよ! 実際の未成年淫行やら、暴力行為は当然駄目だし滅べとは思うけど、それと漫画の因果関係が全っ然わっかんない! そんな曖昧なモノの為に漫画が特定の表現を用いることを禁止するなんて、作家に死ねって言ってるようなモノよ! 暴力もエロもない、毎日学生が平和に過ごすような漫画だらけのジャンプ、貴方読む気がするの?!」
風:「それは……なんというかコメントに困るなw
向:「なーんか四コマ漫画雑誌みたいn
風:「ちょっと待て、その筋で話を伸ばすのは禁止だw 別方向にDISが飛ぶぞ!」
向:「とはいえ。漫画やアニメが青少年に悪影響を与える証拠がない、って話の筋ですが……読者に悪影響も出せないような作品が果たして面白いんですかね? 表現の自由の意義とかも考えると自己否定な気もするんですけど」
月:「うぐ。ま、影響が無い、ってのは言いすぎよね……。確かにあたしも殺し上等とか言って悪い方に影響されてるし。……かといってあたし別に人殴ったりとかしないわよ!? 本当だからね!?」
向:「どう見ても説得力ゼロです。本当にありがとうございました」
臨:「なんだかあからさまにダメな例になってます〜。悪影響もあるなら良い影響もあるって考えるのが普通じゃないんですか〜!?」
風:「結局のところ、どの方面から見ても完璧なものなんて誰にも作れるわけじゃないからな……。漫画には良い影響も悪影響も、等しく可能性はある。それに現状、市場原理主義が働きすぎてて、売れればいい、過激ならいい、って風潮があるのも確かなんだろうと思う。……結局は第三者の目が無いと何事もよろしくない、というオチかもしれんが」
臨:「あの、その、やっぱり表現に対する規制ってかなりデリケートな問題だと思います〜。でも、現状を変えるつもりなら、やっぱり誰かが何かをやらないといけないと〜……」
向:「で、いっその事全てを断ち切ってやる、って事なんですかね?」
風:「その辺は流石、石原都知事、と言った所か。常人には出来ない決断だな」
月:「全然発揮して欲しくない決断力だけどねっ!」
臨:「良くも悪くも過激な人、って感じです〜」
向:「僕はなんだかんだで好きですけどね。発言が過激だからよく発言が歪曲されたり一部分だけ誤用されたりする辺りが特に」
風:「ネタじゃねぇかw という訳でそろそろまとめに入ろうか」


まとめ。

風:「ま、結局のところ。暴力、性行為など過激な表現や、犯罪を助長するような表現のある漫画は、年齢制限等のゾーニングする、気軽に手軽にそういうコンテンツに触れないように距離を取らせるための改正案、って事でいいよな? 要は子供達が見られるような場所には、そういう過激な漫画やアニメを置かない、って感じで、漫画自体が廃止されるわけではない、って事だ」
月:「問題になるのは、その過激な、っていうのがどのくらいの範囲なのか不明瞭、って事かしら。ま、お役所仕事とはいえ、あの文面だと魔女狩りがおきてもおかしくはないと思うけど。背後に大いなる悪意を感じるわ……」
向:「陰謀論乙。まぁ仮にそういう鬼のような規制ラッシュが行われたとして……そうなれば全ての雑誌がビニールで封のされた18禁雑誌になって、単行本コーナーは軒並みエロ本コーナーと同化して隔離、って感じですかね? さらに最悪のケースとして、その結果出版業界が低迷、幾つか雑誌が廃刊になり、漫画の全体数が減っていく……ってストーリーでしょうか?」
風:「最悪のケースなら、な。そもそも、ジャンプやヤンマガのようにトップレベルの売り上げを誇る雑誌が規制に引っかかるか、と言われたら正直首を傾げる感じだ。大きく見積もっても、エロ、暴力の過激な漫画が年齢制限のある別雑誌に飛ばされる、って感じじゃねーのか? もしくは青年誌あたりから封付きで購買には年齢確認が必要、くらいなら手間も掛からず売り上げも影響も少ないだろうが……」
向:「書店なんかが大人の社交場的な雰囲気になるんですかね? 軒並み18禁コーナーで」
風:「まぁ、そうなった所で俺は困らんのだけどな。別に過度なエロも、暴力、犯罪描写を求めてるわけじゃない。エロが欲しければエロ本買えば良いし、暴力や犯罪が見たければ実話なんたらとか買えばいいだろ」
向:「そういう問題じゃないとは思いますけどねw」
風:「それに好きな漫画が年齢制限かかっても大きなお友達である俺達には全く関係の無い話だ。タバコを買うような気軽さで漫画を買うだけだろ
臨:「ん? タバコなんて吸わないですよね〜?」
風:「酒もタバコもやらんが、例えだ例え。ま、そういう意味では同列に考えてもらっても構わんのかもな。中毒性はあるし。ああ、封がされて立ち読みが無くなる可能性はあるか。でもそれも俺問題ねぇ。ジャンプは毎週買ってるわ!
月:「漫画がタバコや酒と同じ扱いになるとか、考えるだに世紀末ねぇ
向:「兎にも角にも作家さんには胃の痛くなる話です」
月:「ま、あたしはやっぱり反対ねー。規制規制って、今だって十分差別用語だ、なんだって暗黙の規制多いらしいじゃない。別にそういうアウトローな作品が見たいとか言うわけじゃないけれど、規制でがちがちに固めて、本来芽吹くはずの漫画が阻害される、ってのは非常に気に入らない話よね。当然だけど既存の漫画が規制に掛かって終わるなんてのは問答無用で気に入らないし」
向:「なーんか感情論ですねぇ。規制=出版停止ってわけじゃないんですから」
月:「こんなの結局有害図書判定のようなもんじゃないの。効果の程も解らない規制なんかに付き合って好きな作家さん達が苦悩するのかと思うと反吐が出るわ。殺し上等もい言えないこんな出版業界じゃ、ポイズンってやつよ」
風:「ま、それも一つの考え方だぁな。規制のせいで好きな漫画が打ち切られる、くらいは全然考えられるからな。そうなれば十分反対に値する、って人も多いだろ」
向:「ふっ……規制があろうが無かろうが、打ち切られる漫画は打ち切られるんですよ……」
臨:「なんか諦観した目をしてます〜!」
風:「という訳で、俺も一応反対ではあるな。規制の効果がよーわからん、というのと、やっぱり出版業界が無駄に負担を強いられている気がする、ってのが主な理由だ」
月:「でしょでしょー!」
風:「とはいえ、漫画、アニメに関した部分以外は普通に賛成なんだけどな。インターネット関係のフィルタリングソフト導入とか、むしろ推奨したいくらいだ」
風:「その辺はあたしも賛成してるわよー。とはいえ駆け引きの材料にはならないけどね。漫画の項に関しては全撤廃以外ありえないわ」
向:「自分が対象外の大人だからって言いたい放題ですよね」
風:「そーとも言うw とはいえ、出版業界のモラルが低下しているから、こういう規制意見が出てくるんじゃねーかな? これは真摯に受け止めなきゃならんだろーとは思う。この条例がどうなろうと、出版社側、作家側にはある程度の配慮が求められる時代になっているんだろう」
臨:「過激な表現を上手に隠す技能、配慮が作家、編集に求められている、って事なんですかね〜?」
月:「そんなジブリみたいなマネやってたら週刊漫画家なんて成り立たないわよー! ネームで何日かかるっていうのよ。本当に一握りの超人以外連載できなくなっちゃうじゃない。それに簡単直感が売りの漫画が表現埋め込みまくって逆に解り辛くなってどーするの」
向:「表現を隠しに隠し続けて最終的には映画評論家のように漫画評論家がいないと漫画すらろくに読み取れなくなっちゃうんじゃないですかね? それはそれで面白そうですけど」
風:「漫画片手に評論家のテクスト読む時代が来るのか……胸が熱くなるな
臨:「……やっぱりそれだとなんか本末転倒になってますかね〜?」
向:「おっと、そして僕の出番ですか。ここは賛成に回っておきましょうか」
月:「うわぁ、出たわよ。あまのじゃくねぇ」
向:「貴女方が言葉を選んでいるようですから、はっきり言わせて貰いますけど、この世界にはクソ漫画とクソアニメが多すぎるんですよ。現状。パンツ、暴力、エロ、犯罪……より過激に、より極端ならよい、そんな安易な表現手法が選ばれ過ぎやしませんか? 規制をする事で表現者が創作し辛くなる、なんて偉そうに言ってますけど、そういうのは絶対にエロを描写しなくては伝えられないほどの何かを考えてる奴が口に出すべき言葉なんですよ。エロなんて入れなくても迂回して表現できることはあるし、隠して表現することも出来る、エログロが書きたければ18禁でエログロを書けばいい。これだって表現者の側面でしょう?」
風:「まぁ、上手くやれば別の表現も出来るだろ、ってのは当然の意見だよな……」
向:「過激であればあるほど、人目を引きやすい、ってのはあるかもしれまんせが、もうそろそろ市場限界なんですよ。都知事が心配する程度にはね。以前には見向きもされなかった漫画、アニメが、都知事に少年犯罪の助勢や、教育に悪影響と思われるまでに侵食している。そして目に付く作品はエロと暴力を過剰搭載した有象無象のクズばかり……まず嘆くならこの現状でしょう」
風:「なんというか色々敵を作る発言をするのはやめろw」
向:「兎にも角にも。元々は風刺画から始まった漫画の歴史を鑑みればヲタク文化がマジョリティを気取っていること自体がお門違い! 一般人様の目に入らぬよう、細々とひっそり暮らす……そんな頃に戻るときが来ているんですよ……」
月:「……貴方、実際そんなこと微塵も思ってないでしょう?」
向:「……ソンナコトナイデスヨ
風:「極端に言えば、クソ漫画滅べ、って事だよな」
向:「Exactly(その通りでございます)
月:「あたしよりもよっぽど極論じゃないの!」
臨:「えっと〜、わたしも一応、改正案には賛成です〜。漫画もアニメもたくさん増えて、ほら、じゃぱにめーしょん? でしたっけ? 世界に誇れる文化になってますけど、皆に認められるようになった分、数もすごい勢いで増えてると思うんですよ〜」
風:「ま、俺らがガキの頃と比べても、アニメ放映数も、漫画の雑誌刊行数も桁違いだろうな」
臨:「そんな中、子供達が自分達にふさわしいものを選ぶ、っていうのは凄く難しいと思うんですよね〜。子供の頃はセーラームーンとか、ドラゴンボールとか、この年代はコレ〜っていうのがありましたけど、今はもうたくさんあり過ぎて困るくらいですし〜」
風:「月に変わってエルフは脱がーす! 尻からひねり出すように声出すらしいぞ。アレ」
向:「解り辛過ぎるネタはやめてくださいって!」
臨:「子供にも選択の自由は有るべき、ってのは解りますけど、その選択の幅が最初から無限大ってのは、やっぱり厳しいですよ〜。そもそも面白いマンガに出会える確率だって、元々低いですよね〜?」
風:「……まぁな」
向:「……そーですね」
月:「つまり……今の子供からすりゃワンピースもソードブレイカーも入手難度は同じってことかしら」
向:「全っ然違うと思いますが。貴女がマンガ初心者の子供にお勧めするとしたらどっち? って事ですよ」
月:「そんなんソドブレに決まってるじゃない!」
向:「……聞いた僕が……バカでした……orz」
風:「子供は取捨選択の能力が低いのは当然だしな。その上吸収効率は抜群に高い。玉石金剛の漫画、アニメ業界だからこそ、大人が子供の為に作品をある程度は管理するべき……って所かね?」
臨:「そーですね〜。作家さんによっては子供向けには書いてない、って人もいるでしょうし〜。全てが望まない制限になるとは思わないんですよね〜。出版停止みたいな規制はやりすぎだとは思いますけど、軽い年齢制限とか、放映時間の制限とか、児童向けコミックスコーナーって形とか、色々やれることはあると思うんですよ〜」
向:「最早住み分けをしないとまともに機能しないほどに漫画のジャンルが増えている、って事なんでしょうかね」
風:「ま、やっぱり問題はその区分けを誰が、どうやって判断するのか、って事なんだがな」
月:「だからこそ可能性は最大限に考えないと。その規制の判断をする根拠である条例文が、やろうと思えばなんでも規制可能で、その結果漫画家がむやみに表現を制限される可能性がある、ってだけで、この条例は考慮不足だと思うわね」
向:「可能性を生み出しただけでアウト、ですか。まぁこの手の規制は難しいですよねぇ」
風:「やろうとしてることは解らんでもないんだが……石原都知事の発言も過激だしな。とりあえず審議引き延ばしにはなったが、これからの展開にも要注目だ!」
向:「結局、特に動く気はないんですね」
風:「マジで俺には関係のないことだからなー。そういう漫画の単純所持が規制されるならまだしも、そんなのは有りえない。漫画や雑誌に年齢制限ついたとしても俺は買うし。規制で漫画がつまらなくなっていく可能性はあるが……それは逆に漫画家に対する信頼度が足りんよ。漫画家という生き物は制限された中でも表現を工夫出来る素晴らしい子だしな。まぁ規制される当人が必死になるのは当然だと思うし、非常に共感できるんで応援したくなる気持ちも当然解るが。ともかく、中学生がToLOVEるを買えなくなって涙目になる未来が想像できて面白い、くらいか?」
月:「本っ当、歪んでるわねぇ」
風:「規制上等ー! 俺達ちゃ無敵の成年様だぜぇー!
臨:「いいんですかね〜? そんなオチで〜?」


反省会。

風:「って訳で、相変わらず結論も無くここまで来たな」
向:「まぁ、僕達の仕事は、選択肢の幅を広げる事、であって賛成、反対を声を荒げて言うことではありませんから。……ね?」
月:「な、何よ……?! そんな、”空気読め”みたいな顔したってあたしは反対なのは変わらないんだからねーっ!」
臨:「でも今回は条例文を調べたり、違いを考えたり、色々手間がかかりましたね〜」
風:「あんまりこういうのはアレだと思うが、やっぱり条文の解釈について云々ってのは本当に面倒くせぇな。だからこそ条文もああやって回りくどくフォローが効くように書いたりするんだろうけど……それでも結局喧々諤々なんだから、条文をいくら頑張って作っても、抜け道、悪用、過剰規制とかはなくならないんじゃねぇかなぁ、ってのが個人的感想だ」
向:「要はものすげぇ面倒くさかった、と」
風:「まったくその通りだな。しかも実入りがほとんど無い。ま、こういう駄文を書く事で自分の意見がしっかりするのと、事態を理解出来るって意味では俺得ではあるが……。まぁこれを見てくださる方々の中で何か新しく気付く点でもあれば幸い、と思うくらいだ」
向:「なぜここで良い台詞を……」
月:「オチだからってスカしてるわねぇ」
風:「ちゃかすなw」
臨:「自分の中で意見をまとめておく事が重要、って事ですよね〜」
風:「そーいうこった。って訳で本格的に終わりにするぞ」
向:臨月「「「了解すー」」」



風:「いやぁ、本当に長かった。って訳で。終わった事だしモンハンでもやるかー」
向:「記事書いてるうちに村クエ最後の緊急クエスト終わっちゃいましたしね」
臨:「モンハンとか、やったことないですけど〜……?」
風:「ああ、そーだなぁ。ポケモンの講習が終わったら、今度はモンハンの初心者講習でもやっか? 丁度四人だしな。興味あるだろ?」
臨:「そりゃあぁ社会現象にもなってるようですしね〜。興味はありますよ〜! お姉ちゃんもそうですよね〜」
月:「へ? それってあたしも含まれてんの?」
向:「当然です。四人いてのモンハンでしょう」
風:「って訳で次回更新の予定も立った事だし、本格的にお開きだ。多分次回は月曜のジャンプ感想更新になる。一応今週はこの記事の修正をがつがつやっていきたい所存」
向:「結構ノリで上げてますから、同じようなこと何回も書いてますしね」
風:「最初はもっと気軽な方向性だったんだが、あまりにも感情論や不当な人格攻撃が多いんでな、ソースを基に試行錯誤する必要があったというのは、ミンナニハナイショダヨ
向:「って訳で、また次回ですね」
風:「うむ。非常に長い文章であったがお付き合いありがとうございました。って感じで、また次回!」
月:「ん、じゃまた今度ね。ノシ」
臨:「はいはい、それではまた〜。ノシ」