クリア記念。バロック for Wii【Wii】レビュー。総評:C+

「という訳で先日クリアしたWii用ゲーム”バロック for Wii”の感想でも書こうかと思う」
「はぁ。しかしバロックというと、セガサターン発のゲームですよね? もうかれこれ10年近く前のゲームだと思うんですが、なぜ今更?」
「え〜と〜、バロックは1998年5月21日に発売されたセガサターン専用ゲームですね〜。今年は2010年ですから、かれこれ12年前のゲームという事になります〜」
「SS自体が残念ながらローカルなので、本格的に人気が出たのはシステムに若干修正も入ったリメイク版のPS移植版のようですね。それからPS2版、Wii版、PS2インターナショナル版と出てます。Wii版の発売日は2008年の3月13日。まぁどっちにしても2年以上前のゲームですよ。遅ぇ」
「それはもうバイオ5のレビューとかも今更やってんだから、キニスルナ。とにかく。SS版の頃に情報は耳に入ってて、ちょーっとやってみたかったんだけど、結局買わなかったわけ。で一部ではカルト的な人気を誇るこの作品のレビューを見る度に、いいなぁ、やっておけばよかったのぅ、くやしいのぅ、とかなってたんだよ。で、半年くらいかな。ちょっと検索してたら引っかかって、新作発売してるとか言うじゃないか。値段も安かったし、買うかな、と。まぁつい最近まで積んでたのは、ミンナニハナイショヤデ(5億ルピー)」
「そのネタ超古いファミ通の読者投稿ネタなんでクッソ解りづらいですから!」
「というわけで過去作やっている訳ではないのだが、簡単にレビュー行くぞー」
「了解すー」
「はい、了解です〜」

−−−雑感−−−:一見さんに厳しいゲーム。

「まぁまず操作環境から。モードはハード。視点はノーマルでやってみた。しかしこれは多分駄目だな。正直視点はプレイヤー視点の方がよかったと思う。過去作がプレイヤー視点のみだったって事もあるし……そもそも主人公のモーションがショボい
「ショボい、とはまたざっくり行きましたね」
「しかし昨今のゲーム事情からすると主人公のモーションは、これは酷い、レベルだな。世界観重視の作品だけあって、廃頽的世界観、歪んだ神経塔、蠢く異形達、鳴り響く鉄と心音……とここまでは良いんだが、その中でぬるりと動く主人公妙な踏み込みで無様に剣を振り回す主人公、足元の雑魚に剣が当たらないで涙目の主人公、等となってしまうからなぁ。敵のモーションは多少単調でも構わないんだろうけど、さすがに主人公がへたれな動きだとちょっとなぁ」
「自分視点ではその場から斜めに袈裟斬りなので、そういう事は起こりにくいみたいですけどね〜。溜めながら歩いたり、斬りながら下がる、とかもできるみたいですよ〜」
「視点変更が加わった、というか並立して選べるようになったのでそれは致し方無いのでは? 気に入らなければ一人称にすればいいんですから」
「ま、そりゃそーだけどな。世界観から言って、一人称の方が孤独感というか……諸々ストーリーに副っていたな、と思う次第。三人称視点をノーマル、とは銘打ってるが、これから始める人には一人称をお勧めだ。正直なところ、視点変更するだけで別ゲーだよ」
「元が一人称のゲームですからね。それに倣うのがベター、って事ですか」
「そーいうこった。後インターフェースも最近のゲームとしてはそれほど優秀じゃないかなー。特にカメラアングルではそう思った。これも一人称だからかもしれないけど、カメラの位置リセットが唐突過ぎて咄嗟の時に使い辛い。ロックオンと併用なのもちょっとなぁ。旋回と移動が別なのはFPSユーザーとしては慣れ親しんだものだけど、やっぱりカメラワークも若干荒い。後は投擲かね。投擲の放物線とか、若干操作し辛いんだよ!」
「これはそこまで責められる事でもないんじゃないですか? こっちが最近やさしいゲームで慣れすぎているというか」
「XBOX360のFPSと比べるのはアレかもしれんが、ちょっと不快って一々感じるレベルは看過出来ねー。しかもこれも一人称ならある程度緩和できるのが駄目だよなー。三人称視点の評価を著しく下げる。総じて三人称でやってるユーザーは微妙な不快具合を感じるんじゃねーかな。一人称は一人称でライトユーザーは敬遠する人多そうだし。過去作やってるなら一人称の方が元に近くて良いかもしれんけど、最初にリメイクやった人はがっかりしちゃうでしょうね、だよ」
「……こういうアクションなら他に秀作ありそうですしね」
「そーいうこと。世界観が優れてるとはいえ、ソレを読む為だけに苦行とかやらねーだろ? ある程度はシステムインターフェースがおっついてこそのゲームだ。あんまり売れていないのも頷ける、という雑感だな」
「辛口評価ですね〜。バイオハザード5も辛口でしたけど〜」
「やっぱり値崩れした安いゲーム買ってるのがいかんのかな……正直それらよか、インディーズゲームであった、守って騎士(ナイト)のが面白かっ」
「ほらほら、話逸れてますよ」
「うむすまん。ともかく。ディフォルトの状況でのゲーム画面は非常にもっさりしているので、これ、プレイ画面見て食指動く人は少ないんではないかなー、というのが結論ということで。では次に行くかね」

−−−ゲームの内容について−−−:超厨二設定の塊。

「ともかく厨二。それに尽きる。偽者の天使。妄想を糧に生きる人々。天使虫。異形。失われた自分の半身。痛み、創造維持神……だが、それがいい
「SS版やPS版より絵柄がポップになってますね〜。3Dモデリングもやさしい感じになっていて、絵が怖い、っていうライトユーザーにも優しくなっているみたいですよ〜」
「こういうのの常ですが、それがむしろ余計だ、僕達のバロックを汚すな、という意見もあるようですよ?」
「俺はどっちも好きだがね。昔の荒々しいイラストには廃退さや荒々しさ……アンダーグラウンドっぽさっていうのかな? まぁそういう味があるし、新しいイラストは現代に合わせてデザインがスマートに、綺麗になっているのがいいな。というか角女かわいいよ角女……って、まぁ前述通り主人公がもっさりし過ぎているせいで、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの要領で新しい要素全てに辟易している人も当然居るだろう。絵柄の好みだってあるしな。デザインが大きく変わったところといえば主人公の見た目年齢と……創造維持神くらいか? そんな瑣末な事はどーでもいい。好きに脳内変換すればいいだろ。それでもイラストにこだわるなら、それが貴公のバロックだ」
「ま、僕達が元来絵柄で好悪するキャラじゃないですからね」
「私は新しい方がいいですよ〜。昔の絵は、やっぱりなんというかおどろおどろしくて怖いです〜」
「それがバロックの味、って奴ですよ。僕はどちらかというと昔のイラストの方がいいですねぇ。3D上に描写される2D最強。あのぺらっぺら感が素晴らしい」
「後は新要素っつーとボイスだが……これは軒並みいいんじゃね? 首の者の、『気にくわねぇ!』 とか超よくね?」
「そ〜ですね〜。声はすごく良かったと思いますよ〜。袋の者とか、角女さんの声とかかわいくていいですよ〜。『マリ〜は言っていた〜』とか〜、『おわぁ、こんばんわ』とか〜。『レーニングダンジョンで死ぬなんて、なさけない………とほほ………』とか〜。主人公達の声もやさしくて良いですね〜。『チェスをさしたよな。それぞれが目覚めた時に一手ずつ指して……』とか〜♪」
「ま、声に関してもただの文字列だけの方が自分のバロックが見えてよかったのに、って話はあるでしょうけどね。まぁこんなのはリメイクの性ですが」
「……まぁ……あの、幻影の登場シーンの”ガシャ〜ン!”って音は、怖いんですけどね〜……」
「アレ、間違いなくビビりますよね。開発音量考えろw」
「上級天使に怒られたり、カンオケ男のはじけ具合とか。個人的にはボイスは全般的にすっげぇよかったなぁ。ぶっちゃけボイスリスト集めるだけで十分楽しめるレベルだよ。条件も何気に厳しいしな」
「そうですね。埋まった状態で何々、とか、○○状態で話しかけるとか。一回のプレイではまず埋まらないでしょう。フラグ管理をしっかりやればなんとか……なるんですかね? 数が多すぎて常人には不可能かと思いますが……」
「一通りクリアしたが、2割埋まって無いんじゃねーかな? まぁ意識して埋めてた訳じゃないから仕方ないとしても、これは超ボリュームだ。ボイスコレクションの横列揃いで特典もあるらしいから、余暇があればボイス埋めだな。後は肝心のストーリーだが、ゲームシステムと密接に関係している主人公の設定だとか、歪んで行く塔、繰り返す意味など、設定とゲーム自体が絶妙な絡み具合を魅せている。下手すると、また同じかよ! とかなるんだが、なんというかそう思わせ難い設定の深さがあるよ」
「集めようとしないと語られない設定も多いですよ。それに主人公、ラストシーン以外喋りませんからね。だからこそ最後の台詞が生きやがるってもんデス」
「夜葉は言っていた〜、「この歪さがたまらねぇ〜」とか、ですね〜w」
「というわけで散々システム周りにはケチつけたが、内容は超面白かった。台詞も良いし、仄暗い雰囲気もよい。まぁSS版の方が味があるという人もいるだろうが、これくらいポップでもいいんじゃなかろうか、と思うね」

−−−攻略難度−−−:ハードモードは酷いレベル

「まぁ例によって難易度はハードだったんだけど」
「相変わらずですね」
「正直ハードは鬼畜。っていうか、武器防具の強化が前提な難易度だ。30Fを超えたあたりから、対異形戦が辛くて仕方が無い。正直三属のコートが素とかじゃ、5発くらい殴られたら死ぬ。これでもHPは結構強化してて、HP400以上あるんだぜ?」
「タイマンならなんとかなるんですけどね。ヒットアンドアウェイで。しかし囲まれるとお通夜です。というか状態異常が強すぎる上に頻発しすぎですよ、これ」
「歪みのコート欲しいなぁ。っていうか、錯乱もヤバイが、麻痺が特に洒落にならん。次に脱力と毒。状況によっては死ぬ。大勢に影響はないけど欲情がうざい。で、10F超えたあたりから状態異常のオンパレード。これ厳しいよなぁ」
「一応、毎フロアでセーブは出来ますから死んでもやり直せばいいんですけどね〜」

−−−至極簡単な攻略−−−

「ま、簡単に攻略めいたことでもやるかね。+20程度の知識で悪いが、攻略の際に感じた事を以下略。下準備なしでもやれる感じで列挙するぜー。
1:装備は重剣で。
 よろめき動作が各剣の振り毎に設定されてるんだけど、二刀流だとか、通常の剣だと三撃目にしかよろめき効果が無い。一度殴り始めると動けない三人称視点なら二振り目でよろめく重剣が必須だな。距離調整して二撃目を当てるだけで完封できる。近距離戦は、相手がこっちをよろめかせる攻撃を早めにしてくる相手が動作の差で少し不利だけど。ま、正面から殴り合うゲームじゃねーっていうか、全部を全部正面から殴り合ってたら普通に死ぬから関係ない。またコントローラー振りの特殊斬りもよろめき動作だから、最悪それの連打でも何とかなるっぽい。波動印とか付けると、波動自体によろめきが付くから攻撃のリスクはかなーり減る……けど波動印とか、波動の剣自体が出ないので気にしないでもおけ」
「適当ですねぇ。まぁ基本は重い剣で立ち回って、途中から波動の剣+波動印で俺TUEEE!!!! 出来ればベネ、って感じですか?」
「三人称視点だとそれが比較的簡単に準備可能なラインで実践向きじゃねーかなー? そもそも重い剣は横振りだから範囲攻撃しやすいし。まぁ汚物だけは勘弁な!
2:序盤は経験偽翼。後半は状態異常偽翼。
 序盤の経験偽翼の強さは異常。ガンガンレベル上がる。真剣に籠もるなら使って損は無い。20Fあたりからかな? 後半は一匹に対して20程度変わっても仕方がないので、まぁ持久偽翼が無難じゃねーかな?心臓もりもり食べていくなら、麻痺偽翼か眼球翼でもいい。基本はVT優先で余裕があるなら状態異常対策かな。面倒くさくないのであれば状況に応じて探索中は持久偽翼、戦闘では各対応異常偽翼、って使い分けてもいいけど。ま、特に最終盤は麻痺と錯乱は即死フラグだから、状態異常の偽翼が寄生虫は重要かもしれん」
「麻痺すると動けない上に攻撃も初段で止まるので、完全に殴り合いになりますからね。マジ終わってる。対策は必須でしょう。経験偽翼ですが、序盤の経験+20は大きいですね。汚物を処理しても経験地もらえますから。最初の段階でレベルを上げておくとステータス底に余裕が出来ていいですよ」
3:心臓うめぇ! 骨の真骨頂はVT回復。
「ぶっちゃけ心臓によるVT管理はほとんど必要ない……というか、骨を駆使してVT最大値を増やしていけば、20Fを過ぎる頃には焼け心臓ひとつでも持ってれば十分って感じ。という訳で、骨はかじるとHP10回復、VT10回復を駆使して序盤は腐っててもがつがつ心臓を食うべき。後半だと、腐ってる心臓は呪葬天使が居ないなら基本捨てる。前述してるがストックは一個で十分。育成状況次第では拾い喰いで十分だな」
「VTは戦闘後アイテムで回復しますからね。それに比べて、多分、ですけどHPは回復レートがHP値によらず一定で、しかも遅いです。……HP最大値増やす意味、ありますか? このゲーム」
「最低限、後半で2,3撃殴られても死なない程度は欲しい。HP上げていればなんとかなるかもしれんが……まぁ300あれば十分だと思う。それ以外は全部焼肉にするべきだ、というのが俺の持論。ま、焼肉と賢流の肉はHP最大値まで回復だからHPは高いにこした事はないぞ。焼肉生成には燃焼系のギミックの上に肉や心臓を置くと焼けるし、所持中に自分が燃えても焼けるので基本はそれを利用するな。また、呪葬天使に肉を投げると、腐→通常→焼 と変化するので、愚流、中流は全部焼肉でもいいんじゃねーかな? 中流は腐ってなければHP増強に当てる。腐ってたらギミック使って焼く。賢流は基本HP増強でおk。愚流はどんな状況でもほぼ焼肉待ちだな。まぁ持って行けないなら食う感じ」
「後は骨……ですが。まぁ無敵骨は性能の割りには比較的ですが拾い易く安定度が高いですね。あればほぼストック確定。後は経験骨が序盤と終盤で重要アイテムです」
「序盤でセブンティーンが集束刑具を落とすので、新しいフロア→集束刑具→ダメージ刑具or文様のコンボでフロア全部を一気に殲滅させる時に使用すると効率がいい。序盤なら経験偽翼もつけれいれば一気に2〜3レベルアップは余裕。集束刑具を残せるなら、ちょっちリスキーにはなるが後半でも大幅なレベルアップが見込める」
「ま、後半だと事故死も多くなりますがね。刑具や文様で瞬殺出来ない場合も多いですし。後、入手確立は低いですが、銀の骨の信頼度も高いですね。囲まれた状態からかじって後は適当にふらふらでもなんとかなります。持続時間もそれなりで、炎によろけ属性がありますから、ガルガルタンクジョーも瞬間殺可能です」
−−−
「ま、そんな所だろうか。各異形との戦闘に関してはそれぞれ適当に攻略して頂きたい所存」
「投げやりですねぇ。まぁ大雑把にまとめると以下のように
 重剣を装備。:攻撃範囲が広く、よろめかせやすい。
 心臓は最大値増加に、肉はストックを心がける。:心臓はストック1で十分、肉はあればあるほど有利。
 序盤は経験偽翼。後半は状態異常耐性の偽翼。:序盤の経験偽翼の効果は高い。まひ、錯乱での死亡率は高いので後半は注意。
 銀の骨、無敵骨はあれば必ずストック。:いざ、という時には刑具や文様よりも骨の方が安定するので、こちら優先で
 大切なことなので二回言いました。やり込むなら剣とコートを選別して、骨をストックして〜、となるのですが、とりあえず現地調達でぱぱっとクリアしたい人向けの攻略ですね。最終的には三属の剣と歪みのコートになるんじゃないでしょうか。まぁ波動の剣に流星流星虫でもいいですけど」
「地獄ダンジョン攻略するなら寄生虫の育成も必須だな。まぁそこまできたら専用の攻略サイトを見た方がいい、などとせっかくのエントリが台無しな事を言ってみる」
「本当に意味ないじゃないですかそれ〜!」
−−−おまとめ。−−−
「でも、心臓食べる〜、とか、骨かじる〜、とか、すごい独特の世界感ですよね〜」
「地下数十メートル地点で腐った肉を食べて腹痛の主人公が必死で骨食べて体液落とすとか……超サイコーじゃないか」
「この世界観は結構な信者を作成し続けていると思いますよ。野暮ではありますが例えば、ジャンプ連載中のPSYREN内に出てくる神経制御搭って、バロックの神経塔に露骨に似てますね。世界観的にもかなーりの影響が伺えます。大熱波とリバースデイ、異形とタブー……とかね」
口悪く言えばパクリま、それだけバロックが力のある作品、って事だな。と信者的発言でお茶を濁しておく。と、いう訳で総評だな。
バロック for Wii
 システム:D 有体に言えば不愉快。使い古されたローグ系RPGにしてはお粗末。しかもリメイクなんだしもっとなんとかなっただろうに。
 ストーリー:A 独特の世界観。ゲームシステムとリンクしたストーリーテリングはこのゲームならでは。BGMも合っている。
 やり込み要素:C やり込み要素は多いがシステムのせいで作業ゲーっぽいか? 成長限界も高い。段階的に特典があるのも吉。
 総評:C+ 万人にお勧めは出来ないが、やれるもんなら是非やってみろ、と言いたくなる感じ。個人的な補正を入れればB判定。
 という所で一つ」
「変に評価とかつけると後で後悔しますよ?」
「一応、今の時点ではどう思ったか、というのを残しておくのは重要だと思うのだよ。ビジュアルだとか、BGMっていう項目も作りたかったが自重しただけ褒めてくれ。それぞれ、ビジュアルはシステムに、BGMはストーリーに加味してあるぞ」
「なんという上から目線」
「というわけで、また次回だな」
「はい〜、それではまた次回〜ノシ」
「はいはい。ではまた」